結構前にリサイクルショップで入手したインフィニス。動作不良ということで約3000円というお値段でした。
インフィニスは給弾機構をもった連射型ナーフでして、普通のナーフとしてだけでなく弾入れマシーンとしても使えるという利点があります。一方で手を出しづらい値段だったり…。
修理前の実射
修理前の症状は動画で見ていただければすぐに分かるほど。
- 高確率で初弾が詰まる
- 初弾が撃てても連射すると詰まる
- 飛距離1mくらい。
- リロード機構は問題なし
というものでした。
きっと油分不足によるマガジン詰まりかなー、なんてイージーに考えていたのですが、どうやらそういう理由ではなさそうです。
故障箇所の推測
症状からおおよその故障箇所の絞り込みが可能です。
まずはノーマルの6連マガジンを使っても同様の症状が出ることを確認。これにより最初に想定していたマガジン不良ではないことがわかりました。
あとは弾詰まりと言えばプッシャーの故障も考えられましたが、それでしたら飛距離1mということは無いでしょうし…。あと給弾機能は正常に動いていたことからも消去法でフライホイール部分か、もしくは構造的なパーツ破損または組み立て不良ではないかと。
中古品ということですので、最悪の場合は「ダーツ詰まってモーター止まった状態でトリガー引きっぱなし=モーター焼損」という可能性もありますが、最近の電動ナーフは保護回路が付いていますので意外と頑丈なようです。ということを信じて分解開始です。
早速分解
左側面のネジをすべて外す
書画カメラからのキャプチャ画像ですので画質の悪さはご容赦ください。作業しつつ写真撮ろうと思ったんですが、没頭しちゃうと記録するの忘れることが多くって。
インフィニスはネジ数が多いものの分解自体は簡単です。左側面のネジを全部外せばパカッと開きます。非常に細くて深い場所に有るネジもあるので細長い精密ドライバーが必須です。
こういうような軸の長いものがあれば楽になるかも。
結構な本数のネジがあります。頑張って外していきます。
今回は動作確認も兼ねていますので電池は入れたまま作業しています。
ネジを取ったら左側面カバーを開く
ネジをすべて外したらゆっくりと左側面カバーを持ち上げます。爪で噛み合っているような部分はないので、ネジをきちんと全て外しているのであれば簡単に開きます。固く引っかかっている感じが有るならネジの取り忘れがあるかも。
そうそう、細かいバネや部品が多数ありますので絶対に寝かした状態で分解してください。
バネと小部品に要注意
分解した写真がこちら。ピンク矢印をつけたマガジン検出スイッチ、マガジンリリーススイッチが飛び出しやすいので注意してくださいね。この3つはバネが仕込まれています。
マガジンリリーススイッチの配置
マガジンリリーススイッチはバネを含めて3つの部品で出来ています。少しパズル的な組み合わせになりますので最初の状態を覚えておきましょう。
マイコン基板に要注意
全体的な構造は結構複雑です。電池ボックス付近にあるのが制御基盤。給弾装置やLEDの発光制御を行う部分になります。マイコン内蔵基盤ですので壊れるとどうしようもなくなります。ドライバーの先端や落下したネジ等でショートさせてしまうと一瞬で破損します。できるだけ触らないように。もちろん今回もこの部分は触らず。
試しにマガジン装填
症状確認のためにこの状態でマガジンを装填してトリガーを引いてみます…が、うんともすんとも言いません。
故障!?と焦るところですが、ナーフには安全スイッチが有るからなんですね。
安全スイッチは緑矢印のところ。黒いカバーから出ている白い押しスイッチがそうです。ジャムドア(ダーツが詰まった時に開けるメンテナンスドア。実銃でいえば排莢口)に連動する部分になります。開いているとモーター回りませんものね。
ここをセロテープなんかで貼り付けておきます。場合により給弾部がいきなり動き出すので手を挟まないように。
サブトリガー(グリップ側のトリガー)を押すと勢いよくフライホイールモーターが回転しました。……下側だけ。
どうやら上下あるモーターのうち1個が回転していないようです。モーター音はするのに極端に飛距離が短かったのはそのためだったんですね。
フライホイールの分解
次にモーターの導通チェックをしたいのですが、このままではフライホイールモーターにアクセスできません。ユニットごと外します。
青い矢印の部分のネジを外します。他のネジは外さなくてもOK。
銃身パーツも邪魔になるので左側から引き抜いておきます。銃身と銃口部パーツの2つに分かれています。
黒いカバー部分と少しだけ干渉するので、斜め前に引き抜くように持ち上げます。線がありますので慎重に。
無事にユニットごと取れました。
電圧測定で原因の切り分け
電動系の故障ということでまずはテスターで電気が流れているか検査します。電気が来ていればモーター側、来なければ基板側(電源側)の故障ということになります。
余談ですがオモチャ修理にはテスターの出番が多いので、良かったら1個持っておくと色々と便利です。厳密な測定を行うわけでもないので安いものでも大丈夫。私が愛用しているのも1,000円くらいのものですし。
こういった測定ツールを使うと子供から羨望の眼差しでみられるという副次的な効果もあります。
電圧は正常
電圧はかかっていましたのでモーター側の異常ということがわかりました。
ということはモーター側の焼けか断線、保護装置の故障ということになります。それにしても電圧が不安定…。
断線発見
で、配線を辿っていて気づきました。リード線のハンダ取れてます。
ハンダ付け不良でしょうか。これでは動きませんよね。
最初の段階では取れてはいなかったので、おそらくきちんと接続されていなかったのだと思われます。
再度の電圧測定…正常!
念のためにリード線を直接測ったところ正常に電圧がかかっていることが確認できました。
インフィニスの電源は1.5v電池4本ですので約6v。かかっている電圧も約6v(モーター接続しているので降下します)。問題はありません。
ということはハンダ付けだけで治りそうです。
ハンダ付け
取れてしまったリード線はハンダ付けが必要になります。かなり高温になりますのでお子さんがいない場所で、あと万が一、熱したコテ先が触れても大丈夫な場所で作業するようにしましょう。あと、手等に当たれば一瞬で白い火傷になってしまいます。経験有る方はわかるのですが、この火傷は地味に痛いです。ですので作業は慎重に。
ハンダ付けの方法などは村田製作所さんが分かりやすいマニュアルを制作されています。
はんだ付けの基本 村田製作所
https://www.murata.com/ja-jp/campaign/ads/japan/elekids/ele/craft/knack/soldering
リード線側にハンダ付け
基盤へ部品を実装するのではなく、こういった空中配線は一度にハンダ付けをやろうとするとけっこう大変です。ですので2段階に分けて作業します。
まずはリード線側にハンダを付けます。
ハンダこてを当てて熱し、ハンダを少しだけ付けるようにします。スーッと流れるように染み込んでいくはずです。ごく少量で大丈夫です。大量にハンダを乗せる必要はありません。
ピンセット等で固定しつつハンダ付け
今度はモーター側にハンダゴテを付けて熱しつつ(熱し過ぎに注意!)、先程のリード線をピンセットなどで掴んで接続します。
ハンダこてを離したらハンダが冷めるまで少しだけそのままで。リード線を動かすと接続不良となってしまいます。
リード線を接続したらハンダこてを先に片付けておきましょう。
通電OK!回転もOK!
ユニットを持った状態でサブトリガーを動かし、モーターが回転するか確認します。
回転しなかった上側モーターもきちんと動くようになりました。これで修理はほぼ完了です。
逆の手順で組み付け
あとは逆の手順で組み付けていきます。
フライホイールユニットはリード線に注意しながら元の位置に。
そうそう、アクセサリレールの留め具?も外れやすく忘れやすいので最後に確認しておきましょう。
銃身部分も。
緑の矢印に貼ったセロテープを除去するのと、ピンク矢印のセンサースイッチ、リリーススイッチが正常に収まっているか確認しておきましょう。バネが浮いていることがよくあります。
ゆっくり蓋を締めてネジ止め
静かに蓋を閉めます。もし何か引っかかっていたり、あるいは閉まらないようであればどこか部品が正常な位置でない可能性があります。押し込まずにもう一度ゆっくりとチェックしましょう。
蓋を締めたらネジ止めです。ねじ込み過ぎに注意してくださいね。
試射で動作確認
ネジの忘れがないか確認しておきましょう。
バッチリです。快調そのもの。
動画を撮りながらでしたが、作業時間は30分ほどでした。3000円でインフィニスが手に入ったと考えれば大変ラッキーでした。
愛銃のために
意外と多いナーフの不調。幸いにも最近のナーフは接着箇所が少なくなっていますので簡単に分解できますし、よほど無理にこじ開けない限りは元に戻せます。
自分で修理やメンテナンスをすれば高額なナーフも安く手に入れられることもありますし、何より愛着も湧きます。是非ともトライしてみてくださいね。