発光するナーフとして有名なレイブンやファイアフライより更に前に発売されたのがこのエレクトリックエイルです。ストロボバルブを内蔵しており、透明なクリップ式マガジンに光を当てることで蓄光ダーツを発射できるというものでした。
ただこのクリップマガジンが非常に紛失・破損しやすいようで、今出回っているエレクトリックエイルのほとんどはこのクリップが付属していません。(完品の場合は非常に高額)
もちろん私もクリップは持っておらず…。また持っていたとしても旧メガダーツという今では手に入らない規格のナーフ弾ですので気軽には遊べず、そのために本体は棚の奥でホコリを被っていました。
面白いナーフなのに遊べないのは勿体無い
発光してスライドするクリップマガジンで、しかもデザインはデンキウナギ。空撃ちしかできないのは勿体無い!ということで今回、対応クリップを3Dプリンターで作成することにしました。
実は構造自体は実はすごく簡単で、コッキングすると同時に白いレバーが動き、クリップが押し上げられていくようになっているだけです。残弾やクリップの有無を感知するような機構もなし。
この切り欠き部分とダーツホルダの位置だけ気をつけてあげれば自作は簡単だと思われます。
まずは厚紙を使って現物合わせで。もちろん現行ダーツに合うように作ります。エリートダーツのサイズは長さ72mm、直径13mmなので立てる円柱は直径15mm/内径13mmにしました。高さは30mmくらいと適当です。
モデリングソフトはなんでも良いと思いますが、CAD系のソフトの方が使いやすいです。私はFusion360を使用しています。以前に使っていたXYZ Makerでも十分に作れそうです。
Fusion360は非商用利用の場合は体験版として無料で利用可能です。
→http://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360
強度シミュレーションですとかいろいろ出来るようですが、3Dプリントに限れば普通のモデリングソフトのように簡単に扱えます。基本パーツの組み合わせ、いわゆる積み木ですし。
出来たモデルは3Dプリンター用にデータ変換
使用した3DプリンターはダヴィンチJr。低価格で扱いやすいのでオススメです。もちろん性能的にはあくまでエントリーモデルですから積層面はそれなり。が、こういうパーツ作成には何ら問題ありません。
3Dプリンターはモデリングデータをそのまま読み込むことができず、専用のスライサーソフトで変換してあげる必要があります。
ダビンチは付属のスライサーソフト(データ変換ソフト)が簡単で使いやすいので初心者にはありがたいです。設定するのは充填率と積層厚さ、印刷速度くらい。
ちなみにこのデータを印刷した場合のフィラメント予想使用量は約8~10m。純正フィラメントカートリッジが3500円/100mですので原料単価で言えば350円くらい。
3Dプリンターはこういったパーツ作成を即プリントできるのは非常にありがたいですね。もちろん家庭用ですからそれなりの誤差が出ますけれども、表面加工のついでに削りながら調整しますし。
パパッと印刷、バリを取ったら完成
印刷は約1時間ほど。出来上がったのがこちら。
これはプロトタイプですが、飛び出たバリや糸をハサミで切ったくらいで、特に大幅に削ったりすることもなくそのまま使えました。
こんな感じに現行のエリートダーツが使えるようになります。やろうと思えば現行メガダーツ仕様にも出来るかも。
装填した状態。ダーツ送りも大丈夫でした。もともとが古い製品なので飛距離は残念ですが。
この後、2個ほど作って満足がいくものを得ることが出来ました。実射動画については後日に。
あとがき:3Dプリンターは夢の機械。ただし…
一時、3Dプリンターは夢の機械として大きく持て囃されました。これがあれば各家庭で何でも作れると。オモチャでも日用品でもコピー機のようにスイッチポンで複製できる未来がある…。テレビの特集でも「小物を掛けるフックが壊れた?ならすぐに3Dプリンターで印刷だ。ほら、できた!元通り使えるぞ」と…。
でも実際にはそうはいきません。現物を採寸してCADでデータを作る。そして1時間以上に及ぶプリントに数百円近いフィラメント代。出来たものは積層で段々が目立つ、あくまでプロトタイピングのフックでしかありません。それを表面処理して塗装して…それなら30分かけて100円ショップでもホームセンター行って100円で2個入りのフック買いますよね。その方が出来栄えは遥かにいい。
実際にブームに押されて3Dプリンター買った人の多くが「何をすれば良いのかわからない」「思ってたのと違う」という印象を持っているようです。クラウドからモデリングデータを無償でゲットして何でもプリント…なんてのも夢の話。ダウンロードサイトは何に使うかわからないデータで溢れています。もちろん中には恐ろしく有用なデータも混じっていますが。
…と、ネガディブな話になりがちな3Dプリンターですが、DIY派にとっては夢の機械です。少なくとも私にとっては。
例えば「直径**mmで内径**mmの短いパイプ欲しい」となった場合、従来ではジャンク箱をゴソゴソ探し、必要に応じて削ったり切ったりする必要があったのですが、3Dプリンターならすぐに作成できます。
FUSION360の「パイプ」モードがあるのでそれを使って任意のパイプを作成。
スライサーソフトで読み込んで変換。ここまで約3~5分。印刷には1時間かかりますがその間に別作業なり休憩なりなんでも出来ます。
この凄さ、便利さは工作好きなほど分かって頂けるのではないでしょうか。これが3~5万円で買えるんだから凄いものです。
工作好きで修理好きでモノツクリが大好きな方へ。難しそうだから…と毛嫌いせず、よければ一度は3Dプリンターの世界へ足を踏み入れてみてください。きっと便利ツールとしてその虜になると思います。