ナーフといえば撃って遊ぶ以外にも改造・自作という楽しみ方をされている人が大勢います。塗装したり、市販の改造キットを組み込んだり。はたまたパーツ自体を自作したり。近年は3Dプリンターの低価格化によりパーツの自作が簡単にできるようになってきました。
当サイトでもいくつか製作記を書いているのですが、これらのパーツをパテや削り出しで作れと言われると恐らくは私の技術では無理だったのではないかな…と思います。試行錯誤しやすい3Dプリンターだからこそ出来たと言えます。
実は簡単?先人の知恵+3Dプリンター=誰でも簡単印刷
「3Dプリンターって難しそうだなぁ。3Dモデル作らないとダメなんでしょ?」
「昔、3DCG齧ったけど挫折したよ。」
3DCGと言えばソフトウェアの使い方からして難易度が高く、また専門的な知識が必要であることから敷居が高い分野でもあります。ましてや立体出力するには多くの難関・ハードルが待ち構えています。
でも、実はパーツを印刷するだけなら非常に簡単に出来るんです。理由は簡単でモデリングしない…そう、先人たちが公開している多くの配布データを利用するんです。
例えばこのストックアダプター。ストックの短いナーフに取り付けることで更に延長できるというシロモノです。
これを自分で作ろうと思うと採寸→図面作成→モデリング→各所のサイズチェック→修正→試験出力→再調整…とかなりの手間がかかります。でもすでに印刷対応データとして作られているものならダウンロード→出力という2ステップで手に入れることができます。
有名な3Dプリント・コミュニティサイトで公開されているデータです。作者はHobbes32氏。クリエイティブ・コモンズライセンスですので個人用でしたら自由に印刷して利用できます。クレジット表記すれば商業的な使用も許可されるようです。
今回はこちらを利用させていただきたいと思います。
まずはファイルの変換
上記ページ内の「Download All File」のリンクから3Dデータをダウンロードします。使用ライセンスについて表示されますのでよく読んで把握しておきましょう。
ダウンロードしたデータの中にはSTLファイルが含まれています。「nerfstockextendermk2.stl」という名前のファイルですね。いわゆる素の3Dモデリングデータとなっており、このままでは印刷できませんので変換作業を行います。
★手持ち機種の関係でXYZプリンティングのダビンチシリーズを例にして進めます。
まず変換ソフト(スライサー)であるXYZ Wareに先程のSTLファイルを読み込ませます。大抵は関連付けされていますのでダブルクリックすれば自動的に起動するはず。起動しなければソフト内からファイルを読み込みましょう。
データにより「自動修復しますか?」と聞かれるのでOKを選択しておきます。
※もし致命的に崩れている場合はモデリングデータ自体の修正が必要となります
ファイルを読み込むとこんな感じに立体表示されています。左側の縮尺・位置・回転などは触らないように。
このボタンが変換・書き出しになります。ここをクリックしましょう。なお、左の↓矢印アイコンがファイルの読み込みボタンになります。
こちらが変換設定。基本的に触るのは「サポート」の有無と充填密度くらいです。
サポートは中空に浮いた部分(オーバーハング)が崩れないように「柱」を自動的に付けてくれます。原則としてチェック有にしておきましょう。
例えばこちらはサポートなしで上記データを印刷した例。横に張り出す部分が崩れてグチャグチャになってしまっています。
充填密度は印刷物の中身の詰まり方の設定です。高密度なほど頑丈になりますが多くのフィラメント(インク)が必要になり、それだけ印刷時間もかかります。高負荷のものでなければ10~20%あれば十分な強度を得られますので、そこは個人の好みにより設定してください。
上記の崩れた例では5%で設定しています。
保存先を指定して「書き出す」を押すとデータが出来上がります。
概算ですが印刷時間、使用フィラメント量などが算出されます。気に入らなければもう一度、ファイルの読み込みから行って再設定してください。
いざ印刷
出来たデータはSDカードにコピーし、本体にセット→SDカードプリント→先程のファイルを選択→印刷実行と押していくと印刷が開始されます。もしくはUSB等でPCに接続しているのであれば上記のスライサーソフトから直接印刷を行います。後は2~3時間位で出来上がります。のんびりと待ちましょう。
ちなみに当方が使っているダビンチJrは扱いが簡単(初期調整がほぼ不要)で初心者に最適なモデルなんだとか。価格も安いのでおすすめです。
出来上がりはこちら
出来上がりそのままの形状がこちらになります。
バリ取りなどしていない素の状態になります。フィギュアなど精密モデルには厳しいですが、こういった大きな部品ではほぼそのままで使える状態で出てくるのがありがたいですね。
さっそくリタリエイターのストックに装着。これで約5cmの延長になります。もちろん複数作ればそれだけストックを長く出来ます。結構きつめですのでガタつきは無し。
ではでは早速ブラスターへ装着…
のはずが入らない。どうやらスプリングカバーが穴より大きいようです。
穴とスプリングカバーの直径がほぼ同一径であるため、パーツ同士や印刷時の誤差などにより入らなくなったようです。3Dプリントではよくあることなんですが、こういう場合はヤスリなどでガリガリと削ってあげれば使えるようになります。
スプリングカバーのないイオンファイアではそのまま使えます。若干、きついのでやはりヤスリで少し幅を広げてあげたほうが良いかもしれません。
ほんの5cmの嵩上げですけれども、かなり構えやすくなるのでオススメのパーツです。
モデルデータをフル活用でナーフ生活を拡大
非常に簡単な説明でしたが、実際にやってみると本当に簡単にプリントできることが分かります。玉石混合とはいえモデリングデータは非常に多く公開されておりますので、必要なものや興味のあるものを印刷して楽しんでみてはいかがでしょうか。
モデルデータは下記サイトを巡回すれば、ほぼ目的に合うものは手に入ると思います。
yeggi.com
3Dプリンター用データの最大手コミュニティサイト。多くの人々が種々のデータを投稿しています。個人利用でしたらほぼ無料で自由に使えるものが多いです。
http://www.yeggi.com/q/nerf/
thingiverse.com
今回作ったストックアダプターを公開しているコミュニティサイト。数はやや少なめ。
stlfinder.com
3Dモデルデータの横断検索エンジン。上記2つのサイトだけでなく様々な配布サイトから任意のキーワードに合致するデータを検索することが出来ます。中には有料のものも含まれます。
3Dプリンターがやや高価ですが、好きなパーツを家で作れると考えればかなり魅力ある機会だと思います。ナーフだけではなく小物やフィギュア等のデータも多く公開されていますので色んな物を出力して楽しんでくださいね。